<feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom"><title>JazzClub</title><link href="https://esteloveyou.amebaownd.com"></link><subtitle>徒然なるままに&#xA;他愛のない日常の些細を&#xA;綴っていきます&#xA;感じたままの&#xA;ショートストーリー</subtitle><id>https://esteloveyou.amebaownd.com</id><author><name>swing</name></author><updated>2020-01-06T13:27:35+00:00</updated><rights>感想などいただければ …</rights><entry><title><![CDATA[誰も居ない湖畔]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/7550558/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/2676611605d59acfce92a1884a25154f_76a041215d0a9dcbd977411b4ea5d001.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/7550558</id><author><name>swing</name></author><published>2020-01-06T13:27:35+00:00</published><updated>2020-01-06T13:28:25+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<img src="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/2676611605d59acfce92a1884a25154f_76a041215d0a9dcbd977411b4ea5d001.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		
]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry><entry><title><![CDATA[庭のあるカフェ]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/6886188/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://static.amebaowndme.com/madrid-static/gallery/080.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/6886188</id><summary><![CDATA[　夕刻近くではあったが傾いた太陽の陽射しはなお強く、夏の終わりを思わせるものではなかった。駅から美術館までの長い道のりと、夥しい数の展示物の見学に私たちは少し疲れを覚えながら、敷地内の庭の中にあるカフェに辿り着いた。「ここに入りましょう。」という彼女の弾んだ声は、私の疲れを幾何か癒やすものだった。その建物は南側が全てガラスになっており、陽射しをブラインドである程度遮りながらも、美しい庭を眺めることができた。　「昼食には遅くなってしまったし、夕食にはまだ早いね。」彼女はメニューに目を通しながら時おり私の方を見てそう言った。軽めの食事を取るつもりだったが、写真に誘われて結構ボリュームのあるハムチーズのパニーニとグラブサンドを注文した。彼女との他愛のない会話の中に、時々はっとするような気付きがあるのは実に楽しいものである。未知の世界に触れるようなワクワクとした感覚が漂うのである。]]></summary><author><name>swing</name></author><published>2019-09-04T14:10:01+00:00</published><updated>2019-09-04T14:37:18+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<p>　夕刻近くではあったが傾いた太陽の陽射しはなお強く、夏の終わりを思わせるものではなかった。駅から美術館までの長い道のりと、夥しい数の展示物の見学に私たちは少し疲れを覚えながら、敷地内の庭の中にあるカフェに辿り着いた。「ここに入りましょう。」という彼女の弾んだ声は、私の疲れを幾何か癒やすものだった。その建物は南側が全てガラスになっており、陽射しをブラインドである程度遮りながらも、美しい庭を眺めることができた。</p><p>　「昼食には遅くなってしまったし、夕食にはまだ早いね。」彼女はメニューに目を通しながら時おり私の方を見てそう言った。軽めの食事を取るつもりだったが、写真に誘われて結構ボリュームのあるハムチーズのパニーニとグラブサンドを注文した。彼女との他愛のない会話の中に、時々はっとするような気付きがあるのは実に楽しいものである。未知の世界に触れるようなワクワクとした感覚が漂うのである。</p>
		</div>
	
		<div>
			<img src="https://static.amebaowndme.com/madrid-static/gallery/080.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		
]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry><entry><title><![CDATA[透明な雲]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/6880168/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://static.amebaowndme.com/madrid-static/gallery/052.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/6880168</id><summary><![CDATA[　白く輝く水銀灯の下は眩いばかりに明るく、そこだけがいつか見たような風景がくっきりと浮き出ている。焦点が合っているというのだろうか、周囲の少しぼやけた雑然とした風景とは明らかに異なる空間である。薄手のマフラーを首に巻いた私は、近くのベンチに倒れ込むように座った。微かなため息のような声とともに白い息を吐いた。「私のどこがいけなかったのか。」繰り返し湧き上がる自己否定の感覚が、私の心の底を支配していた。色彩の剥がれ落ちた風景が眼前に現れては消える。別れはいつも突然である。　私が彼女と出会ったのは三十路をそろそろ過ぎようとする頃であった。四十を目の前にして自分では気付かない沸々とした焦りがあったのだろうか。言葉を交わした瞬間から「運命の出会い」を意識するように自ら感情を高めていたのかもしれない。リチャード・ロジャースの「恋に恋して」という古いジャズナンバーがあるが、その中で歌われる歌詞を今となっては思い出すのである。]]></summary><author><name>swing</name></author><published>2019-08-18T12:55:38+00:00</published><updated>2019-09-04T13:01:36+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<p>　白く輝く水銀灯の下は眩いばかりに明るく、そこだけがいつか見たような風景がくっきりと浮き出ている。焦点が合っているというのだろうか、周囲の少しぼやけた雑然とした風景とは明らかに異なる空間である。薄手のマフラーを首に巻いた私は、近くのベンチに倒れ込むように座った。微かなため息のような声とともに白い息を吐いた。「私のどこがいけなかったのか。」繰り返し湧き上がる自己否定の感覚が、私の心の底を支配していた。色彩の剥がれ落ちた風景が眼前に現れては消える。別れはいつも突然である。</p><p>　私が彼女と出会ったのは三十路をそろそろ過ぎようとする頃であった。四十を目の前にして自分では気付かない沸々とした焦りがあったのだろうか。言葉を交わした瞬間から「運命の出会い」を意識するように自ら感情を高めていたのかもしれない。リチャード・ロジャースの「恋に恋して」という古いジャズナンバーがあるが、その中で歌われる歌詞を今となっては思い出すのである。</p>
		</div>
	
		<div>
			<img src="https://static.amebaowndme.com/madrid-static/gallery/052.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		
]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry><entry><title><![CDATA[海辺のレストラン]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4817575/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/a69535e9396d3e024672eff5e172409c_45bb7a7b0af11551715ce1a0f4f4c3fa.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4817575</id><summary><![CDATA[　瀬戸内海に浮かぶ小豆島は壺井栄の小説「二十四の瞳」の舞台になった小さな島である。穏やかな海を船で渡り小さなフェリーターミナルに降り立つと、少し控えめな彼女の笑顔が遠くに見えた。私に気付くと小さく手を振る仕草は、いつもながらとても愛らしい。穏やかなのは海ばかりでなく、彼女と会うときの私の気持ちである。凪いだ海のように私の心は安らかになる。　彼女と会うのは2ヶ月ぶりであろうか。先に島に着いていた彼女は、夕食のレストランを予約していてくれた。新しくできたばかりの海辺のレストランは、夜になると遠く離れた島々の、宝石のような明かりを望むことができる素晴らしい場所にあった。丸いテーブルには小さなワイングラスが二つあった。私は旅の疲れも忘れ・・・　]]></summary><author><name>swing</name></author><published>2018-09-01T02:00:41+00:00</published><updated>2018-09-02T16:37:59+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<img src="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/a69535e9396d3e024672eff5e172409c_45bb7a7b0af11551715ce1a0f4f4c3fa.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		

		<div>
			<p>　瀬戸内海に浮かぶ小豆島は壺井栄の小説「二十四の瞳」の舞台になった小さな島である。穏やかな海を船で渡り小さなフェリーターミナルに降り立つと、少し控えめな彼女の笑顔が遠くに見えた。私に気付くと小さく手を振る仕草は、いつもながらとても愛らしい。穏やかなのは海ばかりでなく、彼女と会うときの私の気持ちである。凪いだ海のように私の心は安らかになる。</p><p>　彼女と会うのは2ヶ月ぶりであろうか。先に島に着いていた彼女は、夕食のレストランを予約していてくれた。新しくできたばかりの海辺のレストランは、夜になると遠く離れた島々の、宝石のような明かりを望むことができる素晴らしい場所にあった。丸いテーブルには小さなワイングラスが二つあった。私は旅の疲れも忘れ・・・</p><p>　</p>
		</div>
	]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry><entry><title><![CDATA[夜風に吹かれて]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4792603/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/943a7943103be538ad70f7a733595b8d_45c1d001225c3a91e75b192299f0e7d3.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4792603</id><summary><![CDATA[　屋上レストランから眺める天守閣は、日中に眺める重厚な威容も素晴らしいが、ライトアップされた気品溢れる夜の姿もまた美しく魅力的である。さらに光の加減であろうか、地上から見上げるのとはまた違った趣が感じられる。遠くに見える空との境を彩る建物の明かりが、絶妙な風景美を醸し出している。　「雨でなくて本当によかったわ。お天気に恵まれたね。」彼女はジョッキを手にそう言いながら、うれしそうに微笑んだ。夜風に吹かれ、美しい夜景を眺めながら飲むビールはとても美味である。同じ風に吹かれ、同じ景色を眺めながら、気疲れのない会話を彼女と繋げることができる私は、今までにない幸せを感じていた。　これから起こるであろう非日常の世界を、私は無意識下に期待していたのかもしれない。とりとめのない会話を続けながら、彼女の声の内にある色合いのようなものを感じ取っていた。小鳥の囀りを聴くような心地よさをその中に見出し、言葉によって奏でられる声の余韻に浸りながら、静かに聞き入っていた。]]></summary><author><name>swing</name></author><published>2018-08-06T11:00:48+00:00</published><updated>2018-08-27T12:30:34+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<img src="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/943a7943103be538ad70f7a733595b8d_45c1d001225c3a91e75b192299f0e7d3.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		

		<div>
			<p>　屋上レストランから眺める天守閣は、日中に眺める重厚な威容も素晴らしいが、ライトアップされた気品溢れる夜の姿もまた美しく魅力的である。さらに光の加減であろうか、地上から見上げるのとはまた違った趣が感じられる。遠くに見える空との境を彩る建物の明かりが、絶妙な風景美を醸し出している。</p><p>　「雨でなくて本当によかったわ。お天気に恵まれたね。」彼女はジョッキを手にそう言いながら、うれしそうに微笑んだ。夜風に吹かれ、美しい夜景を眺めながら飲むビールはとても美味である。同じ風に吹かれ、同じ景色を眺めながら、気疲れのない会話を彼女と繋げることができる私は、今までにない幸せを感じていた。</p><p data-placeholder="">　これから起こるであろう非日常の世界を、私は無意識下に期待していたのかもしれない。とりとめのない会話を続けながら、彼女の声の内にある色合いのようなものを感じ取っていた。小鳥の囀りを聴くような心地よさをその中に見出し、言葉によって奏でられる声の余韻に浸りながら、静かに聞き入っていた。</p>
		</div>
	]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry><entry><title><![CDATA[大阪の人]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4789180/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/af7ffff0f7a7303355d92994f93614b9_5be562f6e3680541fdb96da260a6c82f.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4789180</id><summary><![CDATA[　大阪城公園内にある古い建造物、旧第四師団司令部庁舎の屋上には、天守閣を間近に見ることのできる広いテラスダイニングがある。そのブルーバーズというモダンイタリアンに予約を入れてくれた彼女とは約２ヶ月ぶりの逢瀬であった。 　ウェーターに案内されて席に着いた私たちは、テーブルに用意されたBBQセットからコンロを取り出し火を点けた。真夏の夜のオープンエアでのバーベキューである。これ以上素敵なシチュエーションはあるだろうか。心地よい風が肌に優しく、供された料理と冷たいビールが旅の疲れを癒やしてくれた。いつもながら彼女の選択は素晴らしく、屋上から見える夕闇迫る大阪城公園、そして遠くに聳えるビル群の明かりも胸を打つほど美しかった。 　「ちょうどいい焼き具合ね。」彼女はひと言ふた言、言葉を発しながら、ほどよく焼けた肉を取り分けてくれた。私たちは他愛のない会話を交わしながら、気持ちの温まる時を過ごすことができた。彼女の優しい声には一種独特な色合いがあり、時としてある種の隠微な感覚を私の心に呼び覚ますこともあった。この声色を別なものに変えたい・・・。 　江戸時代の豪商、「淀屋」は自身が拓いた中之島に米市を開き、そこへ渡るために土佐堀川に自費で橋を架けたという。淀屋橋の名前の由来である。現在の淀屋橋は昭和10年に架けられたものというが、その雰囲気は商いの街、大阪の歴史と重みを感じさせた。夕食を終えた私たちは地下鉄で淀屋橋駅に降り立った。 　陽が落ちてしばらく経った淀屋橋界隈は、身に纏うもののの違いはあるけれど、行き交う人の流れは昼間とそれほど変わらない。忙しそうに歩く人たちの中に混じりながら、私たちは中之島へとゆっくりと歩みを進めていた。日中の火照りの名残が夜になっても冷めずに、かえってひどい蒸し暑さが感じられる真夏の大阪の街である。 　北国育ちの私にとってはこの蒸し暑さは辛いはずであるが、しばらくぶりに会う彼女と一緒に歩くことがとてもうれしく、俄に信じられないような新鮮な気持ちも沸いてくるのである。あたかも別な視点から撮られた、現実から離れたショートムービーを見ているような感覚である。 　堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島には大阪市中央公会堂がある。ライトアップされた外観がとても美しく、写真を撮ろうとする私に、彼女は「こちらから撮った方がもっと綺麗」と言いながら正面玄関の方へ案内してくれた。そこから中之島公園内のカフェへはさほど距離はなかった。 　広いカフェの中には大きなピザの焼き釜が見え、明かりを落としたテーブル席にはキャンドルの炎が揺れている。ストライプ柄のテーブルクロスが私の着ているシャツと似ていて、「同じだね」と彼女が言う言葉が可愛かった。年甲斐もなく二人で食べるパフェは歩き疲れた体にとても美味に感じられた。そこから宿泊先まで夜風に吹かれながら歩く二人は、行き交う人々にはどんなふうに映っただろう。]]></summary><author><name>swing</name></author><published>2018-08-06T10:00:34+00:00</published><updated>2018-08-26T14:01:06+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<img src="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/af7ffff0f7a7303355d92994f93614b9_5be562f6e3680541fdb96da260a6c82f.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		

		<div>
			<p class="">　大阪城公園内にある古い建造物、旧第四師団司令部庁舎の屋上には、天守閣を間近に見ることのできる広いテラスダイニングがある。そのブルーバーズというモダンイタリアンに予約を入れてくれた彼女とは約２ヶ月ぶりの逢瀬であった。<br></p><p>&nbsp;　ウェーターに案内されて席に着いた私たちは、テーブルに用意されたBBQセットからコンロを取り出し火を点けた。真夏の夜のオープンエアでのバーベキューである。これ以上素敵なシチュエーションはあるだろうか。心地よい風が肌に優しく、供された料理と冷たいビールが旅の疲れを癒やしてくれた。いつもながら彼女の選択は素晴らしく、屋上から見える夕闇迫る大阪城公園、そして遠くに聳えるビル群の明かりも胸を打つほど美しかった。</p><p>&nbsp;　「ちょうどいい焼き具合ね。」彼女はひと言ふた言、言葉を発しながら、ほどよく焼けた肉を取り分けてくれた。私たちは他愛のない会話を交わしながら、気持ちの温まる時を過ごすことができた。彼女の優しい声には一種独特な色合いがあり、時としてある種の隠微な感覚を私の心に呼び覚ますこともあった。この声色を別なものに変えたい・・・。</p><p>&nbsp;　江戸時代の豪商、「淀屋」は自身が拓いた中之島に米市を開き、そこへ渡るために土佐堀川に自費で橋を架けたという。淀屋橋の名前の由来である。現在の淀屋橋は昭和10年に架けられたものというが、その雰囲気は商いの街、大阪の歴史と重みを感じさせた。夕食を終えた私たちは地下鉄で淀屋橋駅に降り立った。</p><p>&nbsp;　陽が落ちてしばらく経った淀屋橋界隈は、身に纏うもののの違いはあるけれど、行き交う人の流れは昼間とそれほど変わらない。忙しそうに歩く人たちの中に混じりながら、私たちは中之島へとゆっくりと歩みを進めていた。日中の火照りの名残が夜になっても冷めずに、かえってひどい蒸し暑さが感じられる真夏の大阪の街である。</p><p>&nbsp;　北国育ちの私にとってはこの蒸し暑さは辛いはずであるが、しばらくぶりに会う彼女と一緒に歩くことがとてもうれしく、俄に信じられないような新鮮な気持ちも沸いてくるのである。あたかも別な視点から撮られた、現実から離れたショートムービーを見ているような感覚である。</p><p>&nbsp;　堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島には大阪市中央公会堂がある。ライトアップされた外観がとても美しく、写真を撮ろうとする私に、彼女は「こちらから撮った方がもっと綺麗」と言いながら正面玄関の方へ案内してくれた。そこから中之島公園内のカフェへはさほど距離はなかった。</p><p>&nbsp;　広いカフェの中には大きなピザの焼き釜が見え、明かりを落としたテーブル席にはキャンドルの炎が揺れている。ストライプ柄のテーブルクロスが私の着ているシャツと似ていて、「同じだね」と彼女が言う言葉が可愛かった。年甲斐もなく二人で食べるパフェは歩き疲れた体にとても美味に感じられた。そこから宿泊先まで夜風に吹かれながら歩く二人は、行き交う人々にはどんなふうに映っただろう。</p><p data-placeholder=""><br></p>
		</div>
	]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry><entry><title><![CDATA[夕暮れの桟橋]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4760337/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/de196697c55d04d56ea4cf8a4821c722_1accb37d1d18ad64d8e5ccae46c1728f.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4760337</id><summary><![CDATA[　夕刻近くに神戸空港に降り立った私は、迎えに来た彼女とともに宿泊先のある三宮駅へと向かった。十数年ぶりの三宮の街である。駅に着いてから彼女に案内されるまま、昭和の香りを残した商店街や地下道を歩きつつ、歴史のある街の雰囲気を味わうことができた。「ここのお店、めっちゃ美味しいのよ。」そう言いながら、いくつもの小さな食材店を紹介する彼女の優しい声が心地よかった。　コロッケを売る店で「一個だけ？」と言いながら「ふふふ」と笑う彼女がとても愛らしく感じた。他愛のない会話こそが、今の私にとっては心癒やされるものなのだ。伝わる内容よりも、伝える声の響き、温かさ、人としての優しさが今の私には何よりも身に染みる。　宿泊先の部屋で少し休みをとり、神戸の名の知れた観光地でもあるメリケンパークへと足を運んだ。夕暮れの桟橋は昼下がりの麗らかな日和の名残が感じられ、映画的な雰囲気を漂わせていた。週末ではあったが人影は疎らであり、対岸の建物にはようやく明かりが灯り始めていた。潮の香りを漂わす微風が肌に気持ちよく、時おり触れるお互いの指の感触が心地よかった。　MOSAICと電飾された商業施設にあるイタリアンレストランの海辺のテラス、その一つだけ空いたテーブル席に私たちは腰を下ろした。神戸に住む彼女と逢うのは五ヶ月ぶりであろうか。ようやく会えたうれしさにかえって言葉少なくなる私であったが、僅かに言葉を交わすだけでも私には満ち足りた時間となった。水面に微かに揺れて映るポートタワーのイルミネーションがとても美しかった。 ]]></summary><author><name>swing</name></author><published>2018-05-25T10:30:41+00:00</published><updated>2018-08-26T06:03:37+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<img src="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/de196697c55d04d56ea4cf8a4821c722_1accb37d1d18ad64d8e5ccae46c1728f.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		

		<div>
			<p class=""><span style="font-size: 16px; letter-spacing: 0.2px;">　夕刻近くに神戸空港に降り立った私は、迎えに来た彼女とともに宿泊先のある三宮駅へと向かった。十数年ぶりの三宮の街である。駅に着いてから彼女に案内されるまま、昭和の香りを残した商店街や地下道を歩きつつ、歴史のある街の雰囲気を味わうことができた。「ここのお店、めっちゃ美味しいのよ。」そう言いながら、いくつもの小さな食材店を紹介する彼女の優しい声が心地よかった。</span><br></p><p>　コロッケを売る店で「一個だけ？」と言いながら「ふふふ」と笑う彼女がとても愛らしく感じた。他愛のない会話こそが、今の私にとっては心癒やされるものなのだ。伝わる内容よりも、伝える声の響き、温かさ、人としての優しさが今の私には何よりも身に染みる。</p><p>　宿泊先の部屋で少し休みをとり、神戸の名の知れた観光地でもあるメリケンパークへと足を運んだ。夕暮れの桟橋は昼下がりの麗らかな日和の名残が感じられ、映画的な雰囲気を漂わせていた。週末ではあったが人影は疎らであり、対岸の建物にはようやく明かりが灯り始めていた。潮の香りを漂わす微風が肌に気持ちよく、時おり触れるお互いの指の感触が心地よかった。</p><p>　MOSAICと電飾された商業施設にあるイタリアンレストランの海辺のテラス、その一つだけ空いたテーブル席に私たちは腰を下ろした。神戸に住む彼女と逢うのは五ヶ月ぶりであろうか。ようやく会えたうれしさにかえって言葉少なくなる私であったが、僅かに言葉を交わすだけでも私には満ち足りた時間となった。水面に微かに揺れて映るポートタワーのイルミネーションがとても美しかった。&nbsp;<br></p>
		</div>
	]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry><entry><title><![CDATA[浅草にて]]></title><link rel="alternate" href="https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4760222/"></link><link rel="enclosure" type="image/jpeg" href="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/3049d372440ff2e2298443d4ab0c0e51_da688c9e4f7973168c88e03d4a44c908.jpg"></link><id>https://esteloveyou.amebaownd.com/posts/4760222</id><summary><![CDATA[　浅草駅界隈は間取りの狭い店が所狭しと軒を並べ、どこか懐かしい昭和の風情を残していた。陽が落ちてしばらく経った１２月の酉の刻は、オーバーコートに身を包む人々が行き交い、色彩のない白黒フィルムの世界を見ているようである。　明治時代に創業したという老舗バーの前で待ち合わせをした私たちは、５分ほど歩いて大きな提灯のある山門の前に来た。ここから浅草寺までがいわゆる仲見世通りと呼ばれる古い商店街である。彼女が言うように夕暮れ過ぎは店仕舞いをしているところも多く、人通りもまばらであった。　賑わう雑踏の中を一軒一軒、店の佇まいを楽しみながら歩くのも一興ではあるが、僅かに明かりの落ちた通りを時折指を絡めながら、二人でゆっくりと歩くのもいいものである。　彼女がとても美味しいと教えてくれた舟和の芋羊羹は、山門をくぐってすぐのところに見つけることができた。緋色の電球に照らされたショーケースの上に、一口用の小さな羊羹が並んでいて、彼女に言われるまま一本だけ買って二人で分けて食べることにした。二つに割ってくれた彼女の白い指先がとてもしなやかで美しく、いただいた羊羹の甘い香りとともに脳裏に焼き付いている。　浅草寺はすでに閉まっていたが、境内にはおみくじを引く人たちもいて、私たちも誘われるようにくじを引いた。彼女はくじ箱からなかなか出てこないおみくじに戸惑い、小さな穴を眺めては箱を何度も振っていた。私はその仕草がとても可愛くて心が和むのを感じた。　店が次々に仕舞い始め、明かりがさらに落ちるのを目にしながら、冷たくしっとりとした空気の中、私たちは仲見世通りをあとにした。]]></summary><author><name>swing</name></author><published>2017-12-16T10:30:41+00:00</published><updated>2018-08-26T06:04:24+00:00</updated><content type="html"><![CDATA[
		<div>
			<img src="https://cdn.amebaowndme.com/madrid-prd/madrid-web/images/sites/510067/3049d372440ff2e2298443d4ab0c0e51_da688c9e4f7973168c88e03d4a44c908.jpg?width=960" width="100%">
		</div>
		

		<div>
			<p class=""><span style="font-size: 16px; letter-spacing: 0.2px;">　浅草駅界隈は間取りの狭い店が所狭しと軒を並べ、どこか懐かしい昭和の風情を残していた。陽が落ちてしばらく経った１２月の酉の刻は、オーバーコートに身を包む人々が行き交い、色彩のない白黒フィルムの世界を見ているようである。</span><br></p><p>　明治時代に創業したという老舗バーの前で待ち合わせをした私たちは、５分ほど歩いて大きな提灯のある山門の前に来た。ここから浅草寺までがいわゆる仲見世通りと呼ばれる古い商店街である。彼女が言うように夕暮れ過ぎは店仕舞いをしているところも多く、人通りもまばらであった。</p><p>　賑わう雑踏の中を一軒一軒、店の佇まいを楽しみながら歩くのも一興ではあるが、僅かに明かりの落ちた通りを時折指を絡めながら、二人でゆっくりと歩くのもいいものである。</p><p>　彼女がとても美味しいと教えてくれた舟和の芋羊羹は、山門をくぐってすぐのところに見つけることができた。緋色の電球に照らされたショーケースの上に、一口用の小さな羊羹が並んでいて、彼女に言われるまま一本だけ買って二人で分けて食べることにした。二つに割ってくれた彼女の白い指先がとてもしなやかで美しく、いただいた羊羹の甘い香りとともに脳裏に焼き付いている。</p><p>　浅草寺はすでに閉まっていたが、境内にはおみくじを引く人たちもいて、私たちも誘われるようにくじを引いた。彼女はくじ箱からなかなか出てこないおみくじに戸惑い、小さな穴を眺めては箱を何度も振っていた。私はその仕草がとても可愛くて心が和むのを感じた。</p><p>　店が次々に仕舞い始め、明かりがさらに落ちるのを目にしながら、冷たくしっとりとした空気の中、私たちは仲見世通りをあとにした。<br></p>
		</div>
	]]></content><rights>感想などいただければ …</rights></entry></feed>